式辞とは式場や儀式の際に述べる挨拶のことをいいます。一般的には式辞用紙と呼ばれるものに記し、それを読む形となります。では式辞を書く際、どのような点に注意すべきなのでしょうか?ご一緒に基本的なルールについて見ていくことにしましょう。
簡潔な言葉であるべき
式辞はいわゆるスピーチとは異なります。そのため長すぎることがあってはなりません。冒頭でも述べたように、式辞は何らかの式が始まるときの挨拶です。これから式に集中しようというのに、開会の挨拶が長引くと参加者はイライラしてしまうかもしれません。内容も大切ですが、まずは簡潔に述べることを心がけるべきです。一般的には3分ほどで終えるのが望ましいとされています。言いたいことを3分で述べるというのは簡単なことではなく、言葉選びのセンスが会場の雰囲気を左右します。対照的に簡潔すぎて時間が短くなってしまうケースもあります。しかし主催者側の意向がそうである場合、短いものでも構いません。この点は前もって話し合っておくことができます。
もちろん話すスピードは人によって異なります。そのため一概には言えませんが、一般的には400字詰めの原稿用紙いっぱいに文章を書き、それを読み上げると1分ほどかかると言われています。つまり式辞が3分以内で収まるようにするには述べる内容を原稿用紙3枚程度に収めるのがベストです。式辞を書き終えた後は練習して3分ほどで読めるようにしておきます。もし早口になってしまう場合、もう少し文字数を減らしてゆっくりと語るようにします。
式辞用紙の基本
式辞は式辞用紙という専用の紙に記します。式辞を読む際は式辞を包んでいる上包みを外し、畳まれている式辞用紙を広げて読む形となります。この動作も見栄えに大きく関係してきますので、式辞についての正しい理解を得ておく必要があります。まず、式辞用紙には裏と表があります。聴衆は裏と表が逆になった式辞用紙を見ると違和感を感じることでしょう。そのためこれを間違わないようにします。市販されている式辞用紙はすでに折り目がついているものがほとんどですが、折り目がついていないものに関しては自分で折り目をつけていかなければなりません。折り目の幅は一折8センチです。つまり式辞の1ページは8センチほどになるわけです。しかし最初は余白を設ける必要があるために、5センチほどの幅を取ります。式辞用紙の右から5センチほどのところを山折りし、そこから8センチのところで谷折りし、さらにそこから8センチのところを山折りするという作業を続けていき、式辞用紙が蛇腹状になるようにします。
そして書き方ですが、まず表題を入れる場合ですが、最初の8センチ幅の部分に中心よりも少し上あたりから書き出します。このページは表題のみとなり、本文は次のページから書き出します。1ページに入れる文字列は2列、もしくは3列が基本ですが、多くの場合は3列です。文章に使われるルールは一般的なものと同じで、段落や句読点を含みます。文章は上から1.5センチほどのところから書き出し、上部は揃えるようにします。下部も揃えるときれいに見えるために、できることならば揃えるのが望ましいでしょう。しかし下部に関しては細かなルールが存在しないと言われているために、揃っていなくても問題ありません。ちなみに文章の下部の余白も1.5センチほどとなります。
文章が書き終わったら次のページに日付、名前、肩書などを書き記します。日付の書き出しは本文よりも少し下がったところから始まります。文字の大きさも本文よりも少し小さめにします。名前や肩書は日付の横に書きますが、書き出しは日付よりも少し下げます。ちなみに文字の大きさは日付と同じで構いません。日付や名前を記したページの隣のページは空白とします。式辞用紙の最後のページは最初のページと同じで幅は8センチではなく5センチで、ここも空白にします。
文章が早く終わってしまった場合、空白のページが多くなってもかまいません。しかし式辞用紙が足りなくなってしまうこともあります。このようなときは用紙の継ぎ足しを行うことができます。継ぎ足しは糊を用いて式辞用紙と式辞用紙をくっつける形となります。まず、式辞用紙の端を5ミリから8ミリほど残し、そこを糊しろとします。繋ぎ合わせる用紙どちらにも糊しろを作ります、そして用紙の合わせ方ですが、まず文章の進行方向に用紙を並べます。このときに右側に来る方の用紙を上にし、左側に来る方の用紙を下にします。合わせがきれいに決まったら糊を塗って用紙をつなぎ合わせます。ちなみに継ぎ足しは折り目が谷になっているところで行うと目立ちません。
文字の書体は?
式辞はかしこまった場で読まれるのが一般的です。そのため多くの場合は使用される書体も重みのあるものがチョイスされます。それらは行書体、楷書体、そして草書体などです。筆や筆ペンを用いて書かれることも多く、そのようなものが聴衆席にちらっと見えたとき、式場はよりかしこまった雰囲気に包まれます。しかし中には字にあまり自信がないという人もいます。そのような人はパソコンなどを使って式辞に文字を打ち込むこともできます。最近ではかしこまった書体で、しかも筆で書いたような文字が印刷できるソフトなどもあり、字に自信がない人はそうしたものを利用できます。しかし自分でプリントアウトする際は式辞用紙の折り目を気にする必要があります。プリンターに入れるために一度折り目を伸ばさねければならないかもしれません。またページに合わせて上手く文章が収まるように印刷するスキルも必要です。このような仕方で印刷する場合、あらかじめ練習を重ねておくか、失敗を見込んで式辞用紙を何枚か用意しておくことが必要です。
葬儀のための式辞
社葬などで式辞が読まれることがあります。この場合は参加者の気持ちを深く考慮した言葉を述べなければなりません。社葬での式辞では故人と式辞を述べる本人との関係、故人のこれまでの歩み、故人の会社での働きや人柄、そして参列者に対する感謝の言葉を述べます。時間については一般的な式辞同様3分程度です。もちろん悲しい気持ちに負けてしまい、声が震えたり涙を流したりすることがあるかもしれません。それでも式辞は社葬の最初の挨拶ということを忘れてはなりません。なるべく簡潔に、そしてわかりやすくはっきりと述べるのがふさわしいでしょう。またこのようなケースでは使ってはいけない言葉にも注意する必要があります。死や不幸を感じさせる言葉や、同じ言葉を繰り返す重ね言葉などは使わないようにします。
式辞の正しい書き方を覚えておくべき
これまで見てきたように、式辞にはいくつかの基本ルールが存在します。少しややこしいと感じたかもしれませんが、式辞の正しい書き方を覚えておくべき理由がいくつか存在します。まずかしこまった場での挨拶に不手際があってはなりません。そのため最初の項でも考えたように、何を述べるかをしっかりと考えてから書き出すようにします。また式辞は人に見られることが多く、それゆえに正しく書き記す必要があります。式辞を読み終わった後はそれを折り畳み、きれいにしまってから壇上を後にします。この畳む作業の際に聴衆から中身が見えることもあり、列や余白のルールが守られていないと恥ずかしい思いをすることになります。また大きな式典などで式辞を述べた場合、それを主催者が保管することもあります。このような場合は今後誰の目に式辞が触れるかが全く分かりません。これらの状況を考えると、式辞を正しく書くことの重要性が理解できます。

